メーカーの製薬事業勤務 2006年度理学部生物系博士課程修了
- 博士学生の就職、ポスドクのキャリアパスについて:
- 私自身は学部の頃は薬学系におり、大学院で理学系に専攻を変えた。元々、企業に行くことに対してはそれほど抵抗がなかった。
- 90年代に入ってから生物系は幅を利かせるようになり、予算も増えた。また労働力が必要ということで学生もかなり増えた。
- 自分が学部生だったころは、これからはバイオの時代と言われ、研究室の修士課程の学生5人のうち3人が博士課程に進学するという時代だった。
- 生物系の場合、博士課程後の職がそれほどなく、自分の周りではポスドクとして海外に渡る人間が多い。
- 学生にもそのような情報が行き渡るので、アカデミックに行くべきかどうかで悩み、企業に行こうかという話になる場合もある。
- 最近では、修士課程で企業に行く人間も増えており、修士課程で出る学生はだいたい製薬メーカーを目指す。
- 企業就職しようと考えても、あまり職がなく、博士号を資格とみなそうと考える風潮も出てきている。これは生物系がいろいろと系統があるがわりと流動的なところがあるためと思われる。具体的には、研究以外の分野に行った人間としては、ベンチャーキャピタルでコンサルタントをやりたいという人間は多かった。
- 最近では、派遣社員となって研究機関のプロジェクトなどに派遣される人間も出てきており、学会などで派遣会社のブースをよく見る。旧帝大系の生物系のドクターはそれほどではないが、中堅大学や私学のドクターは厳しいという話を聞く。派遣会社に登録することに抵抗があるようだが、そうも言っていられない現状があるようである。
- 博士課程の現在の問題点:
- 研究至上主義なところがあり、そこから脱却して自己改革をしていくのはとても難しい。もう少しいろいろと教えていくこともいいのではないかと思う。
- 教員の側の問題として、教員の中にはアカデミック至上主義の人もおり、企業の研究は研究じゃないという人もいる。ただ、最近では就職の面倒がみれるわけでもないので、学生がアカデミック以外に分野に目を向けることについてとやかくはいえなくなってきている。
- 教員の中で競争にいかにして勝つのかということが至上命題となってきている。そのため、学生のキャリアパスを考えるゆとりはなくなっており、自分の研究のストラテジーを達成するために、学生を使うという発想が強くなってきている。
- 現在、受身でない学生を探すのが難しくなっている。自分は活発に議論をすることが必要と感じているが、教授とディスカッションをしたことのない学生もいて、助手などの指示で動いているだけの人もいる。
- 私のいた研究室は一人一テーマであり、私自身も一つのテーマを6年間追った。ただ、生物系の研究にはばくち的な要素も大きく、突き詰めたら何もでなかったということもよくある。そのため、自分からアクションが提案などのアクションが起こせないと危険。
- 学生側の問題として、他所の研究室の学生と接する機会がない。
- 自分自身の知り合いの学生に進路について相談をした場合には、人によっていろいろと異なる答えが返ってきたと思うが、ずっと理学系で過ごした場合には、アカデミックに行くということを前提として回答しか返ってこなかったかもしれない。
- 飲み会や雑談などであまり将来のことなど、個人の問題に立ち入らない傾向がある。
- 学生が将来について語るとき、漠然と何々をやりたいという希望はあるが、それをどういう立場でやるとか、どのように攻めるのかという具体的な話を聞いたことがない。
- 研究環境の問題:
- 先輩も教授もあまり自分の研究を応用に役立てようという意識がない。研究費の申請の折は、とりあえず役に立つと書かないといけないという程度の認識。最終的なゴールはかなりぼやけている感じがする。
- 企業の生物系人材の採用についての認識:
- 学生の中では、製薬メーカーは、生物学と直結しているというイメージがある。しかし、博士課程の修了者を採用するところとしては、メガファーマと呼ばれているところくらいであり、そうでないところは年間に1人とか2人という感じである。学生は山ほどいるが、食品系・分析系などを合わせても足りない。
- 私が企業に入社してから言われたことであるが、「博士課程を修了してきて入社する人材は、修士課程を修了してきた人間の4年目と同じ年齢である。そのため、修士課程を修了して4年目の人材よりも劣るようであれば採用する意味がない。また、修士課程の学生と博士課程の学生が選考に残った場合に、修士課程の学生が入社後3年でその博士課程の受験者に追いつけると考えた場合には修士課程の学生の採用を優先する」ということであった。このハードルを越えるのが難しい人がもしかしたら多いのかもしれない。
- よく言われることだが、視野が狭い人が多く、なんでもやるという人材の方がまれ。これまでの研究の延長でやっていきたいという人は企業はいらない。
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